日本教育の自己偶像化

歴史家のA.トインビーが、文明が衰退する時にはどのような理由によるのか、鋭い分析をしています。

文明が衰退する理由の一つが、成功と勝利に陶酔して起こる自己偶像化です。

日露戦争以降の日本の軍国主義が、まさにこれでした。

日本教育にも、この自己偶像化が起こりました。

日本教育は、日本の高度経済成長を可能にしました。それは事実です。でも、その成功に自惚れてしまい、一度できた型から踏み出すことができなくなっています。

日本教育は、かなり無理をした教育体制だと思います。教職員も生徒も、「頑張り」続けて、やっとこせ維持できるのです。自然に次のものに発展していく余地がなくて、袋小路に入り込んでしまっています。

特に、生徒の自発性が育ちにくいことが問題です。

教育を多様化しておかないと危ない。現在の教科の枠組み、学校の運営方法、受験体制、それらを疑わないといけない。

不登校の子どもたちがたくさん現れたことは、日本教育に対する鋭い警告です。

不登校を切り口に、現在とまったく違うタイプの教育を制度的に認め、育成することができます。学校を拒絶する子どもたちが多数いることは、日本教育の可能性を切り拓くものでもあります。

日本教育の制度的硬直を緩め、さまざまな試行を可能にすべきです。

(古山明男)

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