おるたネットニュース vol.17

おるたネットニュース vol.17 2015年12月25日配信

コラム:クリエイティブであること

古山明男

クリエイティブであるのは、子どもの特権です。ところが、大人になると、いろんなウルサ方が、頭の中に棲み着いてしまうものです。何をするときも、自分の中の監督者が「次はあれだぞ」と指示し、権威者が「よくできました、えらいね」と評価し、アナウンサーと解説者が「すごいですね。熱中してやっております」と実況中継する。それで、子どもの時のクリエイティブな状態から、切り離されてしまうのです。

実は私がそうなのです。ところが先日、クリエイティブである感覚が、ふとよみがえりました。

その時はちょっと体調が悪く、しばらくの仕事や用件をすべてキャンセルして、自宅で療養していました。気持ちは、仕事のすべてから解放されていました。自分の部屋の中を見回すと、机の上も、床の上も、雑然とあらゆるものが散乱し、無造作に積み重ねられています。「いつか整理しなきゃ」とは思っているのですが、その「いつか」はやって来ないのです。

ところが突然、その日は、床にある書類や本の整理を始めたのです。「やらなきゃならないこと」は別にあったのに、何も考えずに整理を始めました。とにかく、床の上に読んだ本が一冊置きっ放しだから、本棚に戻しました。

そうすると、その隣の本も、あ、これはあっちの本棚だ、と戻す。その下にある書類はもうご用済みだ、と捨てます。やっていると、本棚のここを未整理書類の置き場所にしたらいい。ここは、薬をまとめて置く場所にしよう。など次々とアイデアが湧きます。手も動きます。3,4時間やっていたのだと思います。ふと、気がつきました。「あ、これ、子どものときの状態だ」

次から次へとアイデアが湧くからやっているだけなのです。自分が熱中しているということにすら、気がつかない。「やらなきゃ」が何もないから、何も苦になりません。

子どもの時は、いつもここに住んでいたことを想い出しました。時間経過の感覚はありません。頭の中のおしゃべりはしていません。そのぶんだけ、頭脳はフル回転しています。必ず物をいじっています。もの覚えはいいし、すべての知識や技能を活用しています。自然にクリエイティブになるのです。

心理学的には『フロー』と呼ばれている状態です。『フロー』は、子どもにとっての当たり前です。子どもの当たり前を離れて教育をやるべきではありません。机と椅子に拘束する、一方通行の授業する、宿題を出す、テストをする。頭の中にウルサ方が棲み着くだけの教育になってしまいます。

「オルタナティブ教育」と呼ばれる教育は、いずれも、この子どもにとっての当たり前をいかに現実にするかの工夫であるように思います。

イベント情報

第14回子どもの権利条例東京市民フォーラムのつどい

 パネルディスカッション 『多様な教育機会確保法』の意味と課題を考える パネリスト:
  奥地圭子(NPO法人東京シューレ理事長)
  喜多明人(子どもの権利条例東京市民フォーラム代表/早稲田大学教授)
 コーディネーター:
  荒牧重人(子どもの権利条例東京市民フォーラム運営委員/山梨学院大学教授) 日時:2015年12月26日(土) 13:00~15:30(開場12:30)
 場所: 早稲田大学文学学術院校舎33号館 3F 第1会議室
      早稲田大学戸山キャンパス 東京メトロ東西線早稲田駅徒歩3分
 参加費:無料(資料代カンパをお願いします)
 主催:子どもの権利条例東京市民フォーラム
 お申込み&詳細:http://www.seikatsusha.me/news/2015/12/09/8121/

素敵な幼児共育コレクション in 関東

 現場で小さな子どもたちの保育・教育をしている方々をお呼びし、様々な幼児教育をご紹介するとともに、”今日から実践できる、子育て・幼児教育のノウハウやヒント”をおすそわけするイベントです。
 日時:2016年1月17日(日)12:45~16:00(予定)
 場所:東京都品川区
 参加費:早割(~1/14申込みまで) 1,000
 主催:NPO法人オトナノセナカ
 詳細・申込:http://otona-no-senaka.org/event/1800/

編集後記

超党派フリースクール等議員連盟のあたらしい座長が決まり、来年はいよいよ国会で議員立法が提出されるでしょう。日本は民主主義の国です。未来を生きる子どもたちの為にも、みなでよりよい環境をつくりあげて参りましょう。

(きむさと)

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