おるたネットニュース vol.8

おるたネットニュース vol.8 2015年3月5日配信

ニュースと解説:文科省検討会議と議員立法

古山明男

文部科学省の「フリースクール等に関する検討会議」が立ち上がり、正規学校に行っていない子どもたちの学びをどう保障していくかを検討しています。2月27日の第2回会議まで開催されています。

いっぽう、2月18日に超党派フリースクール議員連盟の会合で、「普通教育支援法(仮称)」を議員立法で作るとの表明がありました。フリースクール等を、「義務教育である普通教育」として認めようとする方向です。詳細について「多様な学び保障法」事務局がフリースクール議連と接触を図っていますが、その後、特に情報は入っていません。

民間側は、「多様な学び保障法」の骨子案をすでにまとめていますが、文部科学省と議連の動きが速いため、それぞれの動きの中に意見を出していく形になっています。

このように動きが速い理由として、下村博文文部科学大臣が自分の任期中に形を作ろうとしているため、という観測がなされています。

下村文科大臣は、「週刊文春」に政治資金問題を指摘する記事が載り、国会でも追及されています。大臣辞任にまで発展するかどうかは、現在のところ不明です。

論説:スモールスクールの時代がやってくる その2「韓国のスモールスクール」

辻 正矩 箕面こどもの森学園

韓国では、都市化と少子高齢化が日本以上の速いスピードで進んでいます。1950年代以降、田舎の児童数が急減したことから、政府は小規模校の統廃合政策を押し進めてきました。それに対して、市民の側からスモールスクールを守る運動が起こっています。

南漢山小学校は、1901年に開校した典型的な山村の学校です。一時、児童数の減少によって廃校の危機に陥りましたが、教員や保護者だけでなく、地元の市民まで加わって学校興し運動を起こしました。その中で、彼らは学校の裏山で、自然を観察し、散歩の後は話し合うという山村学校ならではのユニークな教育プログラムを開発しました。その結果、周辺地域に住んでいる子どもたちが転校して来るようになり、学校は生き残ることができたのです。今では、国語の時間の詩の創作や、科学と自然観察授業など、体験中心の授業の時にも森の教室が使われています。

巨山小学校は1935年に簡易学校として誕生しましたが、農村離れのあおりで1992年には分校に格下げされ、2002年には児童数が34人にまで減るという廃校寸前の状態に追い込まれました。ところが、同校の先生たちと保護者らは危機を発展の機会として受け止め、「ミニ学校」という弱点を強みに変えるために知恵を絞りました。子どもらの心と身体のリズムを考慮して、授業時間をフレキシブルに運用するほか、田舎の特性を生かした多様な体験学習と読書、作文教育に取り組み、子どもたちが多様で深みのある学習ができるように工夫しました。このような教育実践が知られるようになると、周辺の都市部から子どもたちが転校して来るようになり、34人の生徒が複式学級で学んでいた分校が、幼稚園を含めて140人以上の子どもが学ぶ活気のある学校に生まれ変わったのです。児童数の増加に支えられ、教員、保護者、市民団体などが分校を本校に引き上げる運動を展開し、2005年には、分校から本校へと引き上げられました。

このような田舎にある小さな学校が集まってつくった「ミニ学校教育連帯」は、小規模校の教育的価値を見直すよう求めています。政府も、このような学校興しが全国の田舎に散在する小さな学校でも実現できるように新しい支援策を進めています。これらの事例は、似たような状況にある日本の小規模な学校を蘇えらせる可能性を示しています。

イベント情報

音楽とトークによる「子育ての魔法の翼」

内容:天外伺朗が自らの子育ての中で湧き出してきた珠玉の6曲を、
ジャズ歌手の大城蘭が軽快なボサノバのリズムで歌う。
日本全国から子供を保育園に入れるため続々と引っ越してくるという、
長野の街興し型保育園「幼児教室大地」の青山繁園長とノンたん母さ
ん先生と大手社長と天外伺朗の対談、そして質疑応答を企画。
日時:2015年4月5日(日)
12:30     開場
13:00-17:00   大城蘭ライブ、天外司朗対談
17:30より    懇親会(当日参加者募集、場所費用は当日)
会場:東京ウイメンズクラブ(青山)
入場料:2000円(小学生以下無料、子連れ大歓迎、
園長およびオルタナテイブ教育主催者無料)
予約は不要です、当日直接会場受付にお越しください。

おるたねカフェ、イエナ・カフェ共催「学校の作り方」

日時:2015年4月25日(土)14:30~17:00
場所:浦安市民プラザ
内容:学校を作った人、作ることに関心のある人たちの事例発表、懇親の場をもうけます。

編集後記

第2回フリースクール等に関する検討会議を傍聴しました。学びを限定しないホームエデュケーションが認められると、学びの多様性がぐっと広がります。最近、ホームエデュケーションで独自のスタイルで自由に学ぶ子に出会いました。これからの展開に注目です。

(きむさと)

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