おるたネットニュース vol.3

おるたネットニュース vol.3 2014年12月17日配信

コラム:「学校というところ」

古山明男 おるたネット代表

私も、かつては公立学校の中学生だった。クラスには、学校にめったに来ない子がいた。小柄でクスんだ感じの男の子だった。無害だったけど、存在感はなかった。いつかしら、まったく来なくなった。中学という集団の暗黙の了解では、学校に来なくなるのは、「しょうがないやつ」であり、それはなにかしら個人的な問題があるからだった。私もそう思っていた。

私は、かつて会社員だったこともある。肩肘張った生き方をしていた。そのとき、集団の同調圧力とはなんであるかを知った。こんどは私は「しょうがないやつ」と思われている立場だった。誰も何も言いはしない。しかし、そのことは、言葉のはしはし、態度のはしはしから、わかるのだった。根っからの親切で「頑張れよ」と声をかけてくれる人もいた。「頑張る気はないよ。オレはね、いつやめようかを考えてるんだよ」と言いたかった。でも、何かしゃべると説得されるから、その言葉は呑み込んだ。

そのうち、会社もやめてプータローをしていた。そのころ、不登校の中学、高校年齢の子たちを援助する場に、ボランティア参加した。もの言わぬ子たちだった。彼らは、黙って集団から身を引き、家で壁を殴るしかなかったのだった。そのことは、なんとなく感覚でわかった。だから何のアドバイスもしなかった。「よお」と声をかけ、「うちに遊びに来いよ」と誘い、ダベったり、ゲームをしたりした。それが、いつのまにか、小さなフリースクールになった。あれは80年代の終わり頃だった。

いつのまにか2014年である。文科省が不登校問題の解決のために、本気で動き出すという。義務教育の名で、全員が来なければいけない学校ができている。それは同調圧力の強い場であった。そうしたら、学校に来れない子が何十万人も現れたのだった。誰でも来なければいけない学校を作ろうとするから無理が生じる。そんなことは不可能だ。どんな教育機関であっても、全員に合っていると主張するのは傲慢というものだ。一人一人に合わせて教育が生まれてくる仕組みがあればそれでよい。

学びというのは、自宅でも街の片隅でもできる。

イベント情報

見第7回日本フリースクール大会(JDEC)

日時:2015年1月10日(土)、11日(日)10時~12時
会場:東京国立オリンピック記念青少年総合センター
主催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク
内容:今、チャンスを活かす ~国のフリースクール支援~
実践報告 フリースクールの魅力と悩み
その他

これからの子育て・教育を考えるフォーラム(第2回オルタナティブな学び実践交流研究集会 in 関西)

日時:2015年2月7日(土)・8日(土)
会場:大阪府立大学 I・サイトなんば2F
内容:講演「子育ても学びもいろいろあっていい」 清水真砂子
立場な学びの実践交流

編集後記

最近つくづく、「多様性」というのが大事だな、と思います。地球誕生以来、様々な種が生まれては消え、現在も多様な生き物が地球上で共にくらしています。教育もさまざまな教育を試行錯誤して行く中で、それぞれに最適な学びが落ち着いて行くのではないでしょうか。

(きむさと)

タイトルとURLをコピーしました