おるたネットニュース vol.4 2015年1月7日配信
コラム:「文科省不登校フォーラムに参加して」
野村俊幸 登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会 代表
学校復帰が主眼の不登校対策が、子どもと家族を追いつめてきました。
現在40歳の長女は中学2年生が始まって間もなく不登校になり、何の理解もなかった私はひたすら長女を学校に戻そうとして、長女を病人のような状態に追い込んでしまいました。
現在30歳の次女は小学4年生になって間もなく不登校になりましたが、姉のときの反省もあり、一切登校を無理強いしなかったので、次女は概ね元気でした。現在は二人とも社会人として家庭を持ち、普通に暮らしていますが、このような経験は、わが家だけの個別の特殊なものではなく、全国の多くの不登校家庭が経験していることです。「何らかの事情で学校が辛い状態」であり、「不登校も本人の成長にとって必要なプロセスかもしれない」と親も教師も子どもをまず受容することから始める必要があるのに、「学校に戻す」ことを第一に考えてしまうためにそのような態度を取ることができないのです。
私は現在、はこだて若者サポートステーションの相談員などソーシャルワーカーとして活動していますが、「クライアントを個人としてとらえる」「クライアントを丸ごと受けとめる」「クライアントを自分の価値観に基づいて非難しない」「クライアントの自己決定を促し尊重する」などバイステックのケースワークの原則は、 不登校の子どもと関わる場合にも、当然尊重されるべきことです。しかし、大半の親も教員もこのような対処をできず、親子関係も教員・学校との関係も悲惨な状態になっていくのは、「子どもを学校に戻すこと」を不登校に解決と考え、様々な強い働きかけを進めてきたからにほかなりません。
まずは早急に、学校復帰を主目的とする不登校政策を転換し、児童生徒が自分を否定されず、安心してゆっくり学校を休むことを認めるともに、既存の学校の他にも多様な学びの場、進路を選択できるように、教育システムが柔軟な形に改革されていくことを望んでいます。
コラム:「加速した教育多様化の動き」
古山明男 おるたネット代表
昨年(2014)から、教育を多様化する動きが活発になっています。民間にも、文科省にも動きがあります。オルタナティブ教育を制度的に認めようという動きは、2002~2004年の教育特区から活発になりました。それによって、シュタイナー学園(神奈川県藤野)、東京シューレ葛飾など、いくつかの事例はできました。それは「特例的に学校になれる」というものでした。多くのフリースクールは、制度の外側にとどまりました。そのため、2008年にフリースクール議連ができていたことをきっかけに、フリースクール全国ネットを中心に、新しい法律を作ろうと動きがありました。その動きが、現在「多様な学び保障法を実現する会」となっています。骨子案ができていて、2014年になると、国会議員にも働きかけはじめていました。
http://aejapan.org/wp/?page_id=106
それとは別に、2014年9月に文部科学省が動きはじめました。14年7月の、「教育再生実行会議 第5次提言」には、フリースクールやインターナショナルスクールなどの位置付けについて、「就学義務や公費負担の在り方を含め検討する」と書かれました。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/pdf/dai5_1.pdf
それを受けて、9月になると首相のフリースクール訪問が行われました。11月には文科省主催のフリースクールフォーラムが開かれ、これまで制度外と見なされていた多くのフリースクールが招かれて、講演と事例発表などが行われました。同じく11月に、不登校フォーラムが開かれています。文科省が、新しい法律を作ろうとするか、従来の枠組みの中での特例を作ろうとするか、まだわかりません。文科省のスケジュールは、1月中に有識者会議を立ち上げます。有識者会議は、5,6月頃中間報告を行い、2015年度中に提言を出します。文科省は、有識者会議の結論によって施策を決めます。いっぽう民間側は、独自の法律案を進行させることと、文科省の動きを見守ることの両方で動いています。おるたネットは、「多様な学び保障法を実現する会」に、団体会員として参加しています。
イベント情報
見第7回日本フリースクール大会(JDEC)
日時:2015年1月10日(土)、11日(日)10時~12時
会場:東京国立オリンピック記念青少年総合センター
主催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク
内容:今、チャンスを活かす ~国のフリースクール支援~
実践報告 フリースクールの魅力と悩み
その他
社会の側に立つのではなく個の立場に立って発達障害を視る
イイトコサガシ 冠地情・冠地俊子親子講演会
日時:2015年1月24日(土)PM1:30〜PM4:30
会場:浦安市民プラザ Wave101 中ホール(JR新浦安駅 徒歩3分)
主催:発達ネットワーク☆ママの会
内容:この子にしてこの母あり、の抱腹絶倒のダブル講演会。
これからの子育て・教育を考えるフォーラム
(第2回オルタナティブな学び実践交流研究集会 in 関西)
日時:2015年2月7日(土)・8日(土)
会場:大阪府立大学 I・サイトなんば2F
内容:講演「子育ても学びもいろいろあっていい」 清水真砂子
立場な学びの実践交流
編集後記
みなさん、あけましておめでとうございます。今年は多様な教育を作り上げていく上で、とても大事な年となると思います。それぞれの子どもにあった多様な学びを、これからの子どもたちへ。今後もニュースを発行してまいります。本年もよろしくお願いいたします。
(きむさと)