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学習遅滞児(低学力児)

学習遅滞児(低学力児)
各種の原因によって低学力に陥っている子ども

いわゆる「低学力」が問題となっている子どもたちの中には、発達障害等を持つ子ども、不登校の子ども、外国籍の子ども、貧困等で家庭や学校外に十分な学習環境が得られない子ども、なども含まれますが、そちらは別の項で取り上げていますので、ここではそれ以外の子どもたちのことを扱うことにします。

上記の子どもたちを除けば、低学力に陥るのには以下の2つのケースが考えられるでしょうか。

  1. 境界知能による学習遅進

  2. 俗に落ちこぼれと言われる学業不振

1.の境界知能とは、精神遅滞(知的障害)の範囲と、正常知能と言われる範囲との境界領域(IQ 70~85ぐらい)の範囲の知能を指します。そうしたやや遅めの知能の発達ゆえに学習に遅れを来たす「学習遅進児」と言われる子どもは、ゆっくり学ぶタイプの子どもという意味でスローラーナーとも呼ばれています。

こうした子どもたちは、知的発達のレベルがやや低いだけで、特異な認知の偏りをあまりもっていないという点で、LD(学習障害)の子どもたちとは区別されます。「学習障害」が遺伝的な要因が主なのに対し、「学習遅進」はそれに環境的な要因が加わって生じたものなので、時間をかけて解消することが可能だとのことです。

学習遅進の子どもたちは、その子らの特性に応じた学習形態、認知のスタイルに合った学習方法、興味関心の持てる教材などを工夫することで、学力を伸ばすことが可能だと考えられており、そのための研究や指導の試みがなされています。

2.の学業不振とは、簡単に言えば学校の授業についていけないでいる状態です。教育現場では皆が一緒に進んでいくという授業形態や、カリキュラムを消化するので手いっぱいだという事情などから、つまずいたところや分からない個所を個別に時間をかけてやり直すようなことが、できにくいのが現状なようです。日本の義務教育では、一定の成績を修めなければ進級・卒業できないという「修得主義」ではなく、出席日数に不足がなければ成績にかかわらず進級・卒業を認める「履修主義」をとっています。それは「留年」が子どもに与える心理的影響を考えて、なるべく避けようという配慮からなのですが、それが逆にあだとなり、学習につまずいた子どもが見過ごされ、落ちこぼれる原因の一つになってしまっています。

高校生や大学生の低学力問題に向き合う教育者や、ニート・フリーター等の若者の自立を支援する人たちからも、義務教育段階でのさまざまなつまずきの早期発見と支援開始、低学力生徒に対する個別的な学習支援の必要性が訴えられています。

学習につまずく子どもの背景には、学校での友人関係や家庭環境に問題を抱え、落ち着いて勉強に取り組めないとか学習に興味を持てなくなってしまうなどの事情があることも多いので、そうした点への配慮も必要でしょう。

こうした低学力の子どもたちに対する支援としては、学校ごとか市町村単位でボランティアを募集し、TA(Teaching Assistant)として授業中に低学力児の個別指導をしてもらうことが多いようです。それに対してNPO等が主体となって、支援ボランティアを学校に派遣しているところ(*1)もあります。

また授業外での学習支援活動もあります。学校が、保護者や地域住民と一緒になってボランティアを募り、土曜日や夏休みに希望する生徒に勉強を教える活動をしているところ(*2)もあれば、NPOが主体となってそうした活動をしているところ(*3)もいくつかあります。

ただ、発達障害、不登校、外国籍、貧困、などの子どもたちの方がより大きな問題だと考えられているためか、それぞれに特化した支援活動の方が多いようです。学習遅進児はLD(学習障害)の子どもたちと一緒に支援の対象となることもよくありますが、学業不振児のみを対象に支援活動を行うところはあまりないようです。

  • 脚注

    *1 ) LFA、夢育支援ネットワークなど

    *2 ) 杉並区立和田中学校など

    *3 ) 文化学習協同ネットワークなど

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